日本人よ、それでいいのか?

私は2年間、フィジーで暮らし、市役所で働いていました。
その間、多くのフィジー人と関わり、仕事をしてきました。
フィジー人の労働スタイルや仕事に対する考え方は日本人と大きく異なります。
その違いに始めは驚き、腹をたてることもありましたが、フィジーに馴染んでいくうちに、オカシイのは日本人の方ではないかと思う点が多多ありました。
ここではその点に焦点を当てて、フィジー人の働き方についてまとめてみます。

●2つの人種がいるフィジー
現在、フィジーには元々フィジーに住んでいた原住民系と、100年ほど前に移住してきたインド系が共存しています。比率は大体6対4ぐらいです(他にもわずかですが中国系やヨーロッパ系もいます)。

原住民系フィジー人は部族の土地を持っています。南国なので、フルーツや芋がすくすく育ちます。なので、村に居る限り、食料に困ることはありません。また、部族の土地をインド系フィジー人に貸し出せば、土地代を得ることもできます。
そのため、あくせく働く必要のない原住民系フィジー人は性格ものんびり、仕事は必要があれば仕方なく、という感覚です。

インド系フィジー人の環境は原住民系と較べて過酷です。
フィジーでは原則原住民系以外の人は土地を所有することができません。そのため、インド系は家を建てるのも、畑を作るのにも、原住民系から土地を借りなくてはいけません。
そのため、何が何でも現金収入を得る必要があります。
また、元々インド人は金にうるさいので、儲かるなら努力は厭わないところがあります。

日本人に似ているのはやはりインド系です。比較的真面目なので一緒に仕事がし易いです。

●どんな仕事をしているか?
村では半自給自足の農業を営んでいる人が多いです。キャッサバやタロイモなどの主食が主です。自生しているココナッツやバナナを採ったりもします。
インド系フィジー人はさとうきび畑で働く人が多いです。

街では、それこそ日本である職業のほとんどは存在します。
時給2ドル(100円)のショップの店員もいれば、私の家の2階に住んでた金持ちの弁護士みたいなもいます。
村とは違い、街では能力の差による貧富の差が大きいと言えます。

また、街でも何もせずフラフラしている人も少なくありません。
原住民系もインド系も家族の絆は深く、助け合いの精神が強いので、誰かが面倒を見てくれているのでしょう。

●フィジー人は何のために働くか?
フィジー人は仕事そのものに価値を見出す人は少数です。
楽しんで仕事をしている人はいますが、仕事は金のためと思ってやっている人がほとんどです。

家族のいる人は家族のため、独身の人は遊ぶために仕事をします。
なので、仕事のためにプライベートを犠牲にするという考えはありません。
ここは日本人と異なるところだと思いますが、これに関してはフィジー人の方が正常だと思います。

ただ、インド系の人の中には家族に良い暮らしをさせるため、本業の後に副業をしている人もいます。私の知り合いのインド人は市役所の職員なのですが、夜はタクシーの運転手をしていました。息子の職業訓練学校のための学費を稼ぐためだそうです。

●一緒に仕事をしていて困るところ
フィジー人は時間の概念がゆるく、物事を計画通りに進めることが不得手です。あるいはそこに価値を置いていません。
日本人の時間の細かさは世界一レベルですが、フィジー人は最下位クラスだと思います。こちらからすれば、待ち合わせの時間に来なかったり、重要な会議の日に突然休んだりされると非常に困りますし、腹が立ちますが、あちらからすれば、それは大した問題ではないということです。
それに対して、私は文化の違いと分かっていても、かなり怒っていたのですが、そのたびごとに周りの同僚になだめられました。
「これがフィジーなのだ」と。
まあ、実際は仕事が1日遅れたからといって致命的なダメージにならないことが多いので、フィジーのやり方でのんびりやるのが良いのでしょう。
フィジーで過ごす時間が長くなるにつれ、あまり怒らなくなり、代わりに脱力するようになっていきました。

●フィジーの優れているところ
フィジー人は日本人と比べると何かにつけ緩いところが目につきますが、彼らは馬鹿ではありません。知能指数は日本人と変わらないんじゃないかと思います。頭のいい人も多いです。
フィジー人の優れているところはプレゼンが上手い、という点がまず思い浮かびます。
しゃべり好きのフィジー人は自己アピールも上手く、何かを発表するときは生き生きとしています。
私は英語が下手くそというのもありますが、会議の発表が不得手で、彼らを羨ましく思っていました。

また、おしなべて自分に甘いフィジー人ですが、他人にも寛大です。あまり相手の非をせめることはありません。なので組織もあまりギスギスしません。

女性が働きやすい社会というのも日本以上だと思います。フィジーでは中流家庭でもベビーシッターを雇う家庭は多いです。また、フィジーは残業が殆ど無く、仕事も休めるので、子育てしやすいと思います。女性の管理職も日本より多いかもしれません。

●職場での1日
私は市役所で働いていましたが、その1日を紹介します。

★8時:出勤
朝8時に出勤です。通勤途中で新聞を買って行きます。
大体9時ぐらいまで新聞を読んだり、ネットでニュースを見たりします。

★10時:ティータイム
お茶が出てきます。インディアンスイーツも出てきて、軽食みたいになっています。

★10時~12時:仕事
日によって違いますが、私はこの時間帯はオフィスから出て現場(ゴミ処理場)で肉体労働をしていました。

★12時~13時:昼休み
食事です。私は市役所の近所のレストランでカレーやチョプシー(野菜炒めぶっかけ飯)を食べていました。
同僚は家に帰って食べたりしていました。

★13時~16時:仕事
午後は私も同僚もゆっくり目に仕事をします。私はオフィスでプレゼン資料を作ったりすることが多かったです。
14時に再びティータイムです。午後はあっという間に時間が過ぎます。

★16時:帰宅
16時に仕事終了です。残業はありません。フライングで15時半ぐらいに帰ることもあります(笑)。

日本に比べたら労働時間は短いのですが、一応やることはやっていますし、これで市政は機能しているので問題はありません。
日本もこれぐらいの労働環境だったらいいのになあと常々思っていました。

同僚のフィジー人の仕事風景。のんびりしててもやる時はやる男です。

●やはり南国は素晴らしい
フィジーは常夏で、しかも雨も多いので植物の成長がかなりはやいです。土地も豊かなので肥料を与えなくても、それなりに作物は育ちます。
また、バナナやマンゴーはそこら中に自生しているので、何もしなくても餓死することはありません。
そんな場所で人々があくせく働こうという気にならないのは当然です。
日本人が勤勉なのは、作物が取れない冬のために蓄えが必要だったからだと思います。いわば、勤勉じゃないと生きていけなかったからです。
日本でも沖縄の人が緩い(時間の感覚など)はやはりフィジーと同じ理由だと思います。
そう考えると、勤勉=美徳、というのは必ずしも世界中で成り立つわけではなく、日本人の思い込みである側面もあります。
少なくとも、労働時間が長いほうが偉い、と思っている人はダサいと思います。

フィジーで2年間を過ごし、フィジーの素晴らしいところをいくつも実感しましたが、結局私は日本で生活していくことに決めました。
それは私が日本人で日本に慣れているからであって、全体的に日本のほうがフィジーより優れている、という判断ではありません。

日本はフィジーに学ぶべし!
とまでは言いませんが(笑)、世界には日本人とは全く労働観が違う人達がいて、それなりに幸せに暮らしているという事実は知っておいたほうがいいと思います。

●フィジーで働くには?
余談ですが、フィジーで働きたいという日本人もちょくちょくいます。
当然、観光目的で入国して労働することは違法です。労働ビザを取る必要があります。
申請すれば3年間の労働ビザを取ることができます。
中国人の場合は簡単に労働ビザが取得できるらしく、出稼ぎに来ている人も多いので、日本人の場合も簡単に労働ビザが取得できるかもしれません(確証なし)。

フィジーで働く日本人ですが、ほとんどが外務省かJICA関係者です。
他では、日本人の留学生を斡旋する学校の職員、スキューバのインストラクター、料理人、日本人向けの観光業者などがあります。
いきなりフィジーに行って、雇ってもらうように頼んでも玉砕するだけなので、日本で応募してから行きましょう。
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